阿部吉宏の番組史上最強の心霊スポット探索事件「羽生蛇村」

降魔師の阿部吉宏は、2023-08-04 に公開された下のインタビュー動画の時点において、「ニンゲンTV史上、最も強烈だった」のは、「羽生蛇村」の悪霊(妖狐)だと語っている:

「羽生蛇村」というのは、有名なホラーゲーム『Siren』の舞台であるが、現実に存在する埼玉県奥地の廃村「岳集落」がそのモデルなのだという。

ニンゲンTVの「羽生蛇村」は、やーかずという心霊系 YouTuber とのコラボ動画である。彼は心霊系 YouTuber としてはニンゲンTVに約 1 年先行し、彼のチャンネル(ダラシメン)は人気(チャンネル登録者数)の上でもニンゲンTVすら圧倒する人気を誇る生え抜きの YouTuber である。その彼は、既に「羽生蛇村」(=岳集落)を探索済だったが、その時から因縁の残るこの場所に再度行き、ニンゲンTVとのコラボによって、阿部吉宏たちニンゲンTVクルーの力を借りて、気になる因縁を解決したいという思いに駆られていたようだ。

  1. 2021-12-14 プロローグ
  2. 2021-12-17 本編(前編)
  3. 2021-12-17 本編(後編)
  4. 2021-12-22 後日談(1)
  5. 2022-01-14 番外編
  6. 2022-01-25 後日談(2)
  7. 2022-02-15 エピローグ

以下、上掲の一連の動画を視聴済という前提で話を進める。

プロローグの動画の段階から、羽生蛇村に向う車中、阿部が不審な様子を見せているのに気付くだろうか。原田龍二とやーかずが、やーかずの身の上話などをしている背後の後部座席で、阿部は落ち着きなさそうに左右に首を動かしている。彼はこの段階から、妖狐が所々に待ち受けているのを車外に目撃しており、2 度目の来訪となるやーかずを〝生贄の御馳走〟(=羽生蛇村の悪霊に魅入られた犠牲者)の訪れと捉えて、待ち受けているのだと語る。

本編において、ニンゲンTVクルーの側の視聴者視点で展開を観ていると、原田にせよ阿部にせよ、絵的には「過去最強」というほどのドラマチックな展開はない(阿部が御札などの対抗手段を周到に整えて彼らを霊的にガードしていたお陰でもあるだろう)。一応、原田や他のスタッフが「狐憑き」の状態になり、顔付きに異変が生じているとされるが、阿部によって速やかに祓われて事なきを得ており、話の流れ的に、こちら(視聴者)側の視点では「過去最強」というほどの危機感を感じさせるほどの絵的なインパクトはやや薄いように思われる(その場にいる臨場感に欠いているせいでこちらに伝わっていないだけかもしれないが)。

──が、むしろ動画を見返してみると、原田たちに問われて語るやーかずの何かに憑かれたような様子に終始一貫した異変の兆候があったと考えることができ、阿部が「過去最強」と評する危険を感じていたのは、そういった点なのではないか。

そのやーかずの異変というのは、過去(約 1 年前)に彼が羽生蛇村に行った時に見かけた、「白い猫のようなものが写った写真」につながっている。導かれるように廃村を歩き回った末にやーかずはその写真を再発見する。

阿部の事前および道中の態度からすると、羽生蛇村にある物体にはおいそれと指を触れること自体がリスキーだという考えを述べていたので、普通、触る前に阿部に報告して指示を仰ぐのが良識的じゃないのかと思うのだが、やーかずはその写真を拾って手に取り、阿部たちの所に持ち帰って見せようとしたのである。

やーかずの手に問題の写真があるのを見た阿部は、苦笑いしつつ「本気でヤバいと思います」とコメントする。

「本気でヤバい」ものを、あれだけ注意していたにも関わらず、手にしてしまっているやーかず。写真を見つけたこと自体はいいのだが、なぜ、そのままにしておかず、手にとってしまったのか?

阿部は、やーかずが手にした〝呪いの写真〟に手を触れようとはせず、遠巻きにしながらコメントする。「これは羽生蛇村から外部に持ち出すには非常に危険な厄だ」「そのままここに置いていくのが一番だ」と。そもそも、事前の打ち合わせでも「決して何も持ち帰らないこと」と決めていたのである。

──が、やーかずは阿部から色々と厳重に注意されていたにも関わらず、無断でその呪われた写真を持ち帰ってしまう。

今回の探索企画は、ニンゲンTVだけのものではなく、やーかずのダラシメンとのコラボレーションであるから、やーかず側の行為までも完全にコントロールすることはできなかったのだろう。やーかずは、ダラシメン側のスタッフと話し合って、「この写真がある限り、何度もこの羽生蛇村に誘われて再び来てしまう」という風に都合良く言い訳して、持ち帰ったのだという。阿部は「何度もこの羽生蛇村に誘われて再び来てしまう」という言葉を、その〝呪いの写真〟の厄の強さを形容するために言っており、持ち帰るべき理由として言っていないことは明らかである。むしろ、厄が強いから「持ち帰るべきではない」という文脈でコメントしている。にもかかわらず、やーかずは、それを都合良く、持ち帰るための言い訳にしたのだ(このような一連の不審な挙動から、やーかずは、その狐の霊に魅入られマインドコントロールされていたのだろうということがわかる)。

だが、写真を持ち帰ったせいで、やーかずには霊障が発生し、翌日に車が大破する事故(もらい事故)に遭う。その車には、やーかずが持ち帰った写真の入った上衣が置きっぱなしとなっていたという。

阿部は、こういう形で命を奪おうとするのが、狐の悪霊だという。

阿部は、やーかずの代わりに、己の命を賭して、写真を日本刀で切る(もし失敗すると、やーかずではなく、阿部の命が危険にさらされると言う)。その切った写真と巻藁を後に神社でお焚き上げして完全に始末をつける。だが、お焚き上げするまでの間、阿部までもが車でもらい事故に遭う。写真に残存した悪霊の念だけでも、依然としてそれだけの力が残っていたほど、力の強い悪霊だったという話である。

この猫の写真は、後に、とあるヤラセ系の心霊 YouTuber が撮影のために羽生蛇村に持ち込んで放置していった〝ゴミ〟だったことが判明するが、阿部は「写真に写っているのが狐系の悪霊かどうか」という話はしておらず、元はただの猫の写真だったとしても、その「写真に狐系の悪霊が憑依していた」状態が問題であり、その危険性について論じていたので、物体的な写真としての出所がヤラセで持ち込んだものであったとしても、何の影響もないと断じる。

注意

ダラシメンのチャンネルでは、実際に約 1 年前にやーかずが写真を初めて発見した時の動画を視聴してその時の写真を見ることができるが、あまり観ない方がいいと思う。ニンゲンTVとのコラボの時よりもさらに写真の写り方が生々しいだけでなく、ニンゲンTVの場合は動画が「お祓い済」だが、ダラシメンの過去動画は特に「お祓い」されているわけでないというのもあるだろう。


妖狐とは結局、ナーガ(龍)系神霊の一種である

「妖狐とは結局、ナーガ(龍)系神霊の一種である」というのが、僕のかねてよりの持論だが、日本では蛇だの龍だの狐だの狼だのと細かく分類されているが、結局はナーガ系の精霊的な動物系の神霊の一種であると考えるべきだと思っている。

今回の一連の動画では阿部吉宏は、写真に写っているのが、猫なのか狐なのか明言はしなかったが、僕にとっては同じもの、妖狐と考えていいと思う。「白くて赤い眼の獣」というだけで、時と場合、見る人によってそれが白狐に見えたり、白猫に見えたり、白蛇に見えたり、白狼に見えたりするだけである。ここでもう一度、〝呪いの写真〟の妖狐を見てみよう。

白くて眼が赤い。鼻面の長さは、狐か狼が相応しい。元の猫の写真がどのように写っていたのかわからないが、腐食によって、そんな風に見える状態になっている。こういうのが、妖狐の姿なのだろうと考えるといいのではないかと思う。この姿はまた、あるアニメの悪役の化け物にもそっくりである。

『ガンバの冒険』のノロイである。彼の姿も白く赤い眼をしている。ノロイは単なるネズミの捕食者としてのイタチではなく、もはや悪霊としての妖鼬の姿を描いていたのである。イタチもまた、非常にしつこく末代までも祟ろうとする動物霊の典型として恐れられている。

要するに、現実に存在する動物の種類はあまり関係がないのだ。これらの悪霊は、キツネのように見えたり、イタチのように見えたり、ヘビのように見えたりするが、本質としては「白くて、眼が赤い」という共通点がある。

妖狐の類は悪霊とは限らない

ニンゲンTVの「羽生蛇村」の場合も、『ガンバの冒険』のノロイの場合も、悪霊・悪者として登場しているが、妖狐などの動物霊が、必ず悪霊なのかというと、そうではないと思う。悪いものもいれば、善いものもいる。本質的に、畜生界(精霊系)の神霊は、それ自体では善悪はなく、中性(ニュートラル)であろう。例えば、稲荷神社の神使としての妖狐は善い神獣の典型である。「白くて、眼が赤い」動物系の神霊が、すべて悪いとは限らず、その姿は単に、神霊としての力の強さを示す目安にしかならないと思う。無闇に恐れるのは、却って失礼でしかない。ただ、人間系の霊と違って、「話せば分かる」相手ではなく、善悪の基準やバランスが、大きく異っているので、こちらの常識が通用すると思わない方がいいのは、確かだろう。

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