七四六家のヒロシは、ヴァンパイアと化すのか?

神智学のブラヴァツキー 註 1 によると、幽霊が生きた人間の側からコミュニケーションを取られ続けると、次第にそのことに味をしめるようになり、やがて幽霊の側から生者の生気を自ら求めて地上世界(人間界)から去らずに彷徨い続けるようになるのだという。ブラヴァツキーは、降霊術・霊媒師の類を強く批判する文脈でそのことを述べているが、この話は、幽鬼=吸血鬼( ヴァンパイア vampire )のことを考える上で興味深い。 先日、心霊系 YouTuber の七四六家で、幽霊メンバーであるヒロシが、他の一部の幽霊に「臭い」と言われて露骨に嫌われる場合がある、という件があり、その「臭い」ということは、どういうことを指すのか? ということについて検証する動画が公開された。 僕はこの動画を観るなり、前述のようにブラヴァツキーが、「幽霊が霊媒によって人間の生気を吸うとやがてヴァンパイアになる」と言っていた件をすぐに想起してしまったのである。動画では「血生臭い」などという発言まで飛び出している。七四六たちは一応、「ヒロシが生前魚釣りが好きだった」ということで今回はひとまず話を収拾しようとしているが、もちろん彼らに神智学的なヴァンパイアに関する知識など求めようもない。 それで改めて「ブラヴァツキーの言っていたヴァンパイア」とは何だっけかな? と思って改めてまとめ直すことにした。以前にも、「 神智学系の死後観・輪廻転生観を添削する 」という形で神智学について駄目出ししたことがあったが、ヴァンパイアについて、原典の該当箇所など、詳細は自分でも忘れてしまっていたので、改めて該当部分の引用も含めてまとめ直そうと思う。 カーマ・ルーパ(Kāma-rūpa, 梵) 註 2 形而上学的に言えば、また我々の秘教哲学の観点からすると、物質に関するあらゆる精神的、肉体的欲望と思いによってつくられた主観的な形体をいう。この形体は肉体の死後生き残る。死後、7 つの本質(又は人間の本能と観念作用が順次に働く、感覚と意識の 7 つの世界と言おう)のうちの低級 3 本質、即ち肉体とそのアストラル原型と生命力は、使用済となって地上に残る。それから 3 つの高級本質は 1 つの組になってデヴァチャンの状態に入るが、高級 自我 エゴ は新たな化身の時が来るまでデヴァチャン状態にいる。死んだ前の人格の影は、...